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Channel: デ某の「ひょっこりポンポン山」
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懺悔の値打ちも…

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 雨にうたれてこその紫陽花なのにここ暫く雨が降りません。それでも土を縫い陽光を浴びてあの独特の姿を整えつつあります。まるでいわさきちひろの絵の少女がかぶる帽子のような・・・そんな優しい光景を思いつつ、痛ましい事件の被害と加害に思いが至ります。



 多くの命が奪われ傷つきその陰に更に多くの悲しみ悲嘆がひしめきます。加害者とその周りにも行く先なき深い暗闇があることと思います。裁判が始まれば、証拠と証言が示され、時に遺族も証言に立ち、論告求刑を経て有罪であれば多くは死刑判決が下ります。

 オウムの事件では、もし刺殺されていなければ死刑になったであろう幹部がいました。その幹部の親御さんの心境を思いつつ、多数の命を奪い自殺した容疑者、米国では警官により射殺された容疑者の家族を思いました。他人事でありつつも人間事として・・・。 

 事実として人の生命を奪い計画的で残忍で社会に重大な衝撃を及ぼし悔悛の情なく更生の見込みなく再犯の惧れあり死刑を回避することは著しく社会正義に反する・・・死刑はそのように断じられた人間に下され、判決確定後は法務大臣の命令により執行されます。

 今なお死刑制度を維持している国は57か国、先進国と言われる中では日本と米国だけであり、米国は19州で廃止、4州が事実上廃止(執行停止)しています。死刑を廃止した国は111か国、執行を停止し事実上廃止した国も韓国など30か国に上ります。

 欧州で死刑制度が残っているのは旧ソ連のベラルーシのみ1国です。英国では1969年を最後に死刑執行がなく「廃止反対」の8割の世論の中、1998年に完全に廃止されました。一方、中国では年間数千人に死刑判決が下り即時執行されているようです。

 日本国憲法は「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる(第36条)」と定め、一方、絞首刑について最高裁は「残虐な刑にはあたらない」との判断を下しています。なお国連は昨年、死刑廃止を視野に執行停止を求める決議案を可決しました。


                               Painted by QP.

 他の犯罪刑罰との均衡、社会秩序の維持、社会的正義の実現、再犯リスクの排除、凶悪犯罪の予防抑制、個人の報復の回避・・・。一方に 冤罪の回避、命を護るために命を奪う矛盾、死刑囚の人権、裁く人と執行関係者の人権、凶悪犯罪抑制効果への疑問・・・。

 各々に考えがおありでしょう。被害者感情も尊重されて然るべきです。それでも私は死刑は廃止すべきだと考えます。「あなたの大切な人が殺されても廃止!と言いますか?」と問われれば言葉を失います。言葉は失いますが、存続すべしとは・・・言いません。

 酷く殺された人とそのご遺族にとって、加害者にはひと欠片の配慮も同情も与えられるに価しますまい。どんなに悔い改めても懺悔の値打ちさえありますまい。死刑判決が下され、たとえ刑が執行されても、悲しみの深さ、闇の暗さは些かも変わりますまい。

 「思い出のクリーングラス」・・・ もしこの歌の由来をご存じなければ、画面に流れるテロップに注意深く目を注ぎながら、最後までお聴きください。
 あぁみんな僕に会いに来るんだ/あの樫の老木の下/青い青い芝草の下に/僕を埋めるために・・・




【補遺】こうした内容を記すことにはためらいがありました。凶悪犯罪者を擁護するように受け取られ兼ねませんし、このテーマにはそうした誤解は避けがたいところがあります。凶悪な事件が起きたときこそ到底受け容れがたいものとして批判されましょう。

 私は、学生時代に、八海事件の被告として死刑を言い渡され、後に最高裁で無罪とされた阿藤周平氏のお話を聞く機会がありました。高裁で差し戻し審を含めて二度にわたり死刑判決を受け、最高裁で完膚なきまでに明白な無実として無罪判決を受けた方です。
 
 冤罪、誤判の恐ろしさがリアルなものとしてそこにありました。また加賀乙彦氏の小説「宣告」では、虚構としての単なる小説ではなく、精神科医として実際に死刑囚に接してきた氏が描く死刑囚の日々と処刑の詳細な描写に、少なからぬ衝撃を受けました。

 そうしたことを含め、国際アムネスティの死刑廃止の活動にも関心を寄せてきました。「裁判員」に選出され凶悪犯罪の審判に関わり得る今日、凶悪犯罪を憎みつつも制度としての死刑について今いちど自らの問題として考えたいと、敢えてここに記しました。


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