「花の色は移りにけりな いたづらにわが身世にふるながめせしまに」。桜花が詠まれた一首ながら 紫陽花を想います。悲しいほどに優しく儚くも美しく咲き 雨に一際映えます。ひとつの別れがあり ひとつの想いにあふれ ひとしきり日常に溶けこむ佇まいです。
Painted by QP
指揮者のパーヴォ・ヤルヴィさん。拙ブログでもエストニアF管弦楽団の大阪公演※について記しました。先日の「クラシック音楽館(Eテレ)」では、年数か月を日本で過ごす彼が「一度も訪ねていなかった」京都の一日を楽しむ様子を紹介していました。
※「エストニアの風」https://blog.goo.ne.jp/00003193/e/884ac94b3f0b31508bd390f4001fee6e
官休庵では千宗守14代宗匠がおもてなし。気後れすることなく雰囲気に溶けこむのはさすが!でした。「茶道の究極の目的は何ですか?」と問う彼に宗匠は「一言でいえば、束の間の別世界をたのしむということでしょうか」。確かに・・・別世界ではあります。
さらに「わび さび とは不完全の美ですか?」と。なかなか思いきりのよい問いに「あらゆることを経験し最終的に至る境地」。これではやや説明不足と 「一より習い十を知る、十よりかえる元のその一」とつけ加えられた宗匠に、彼は「原点回帰ですね」と。
茶道の極意について問われると、宗匠は「長生きも芸のうち」との言葉を紹介されました。「長生き」という言葉の中に14代450年にわたり連綿とつづく千家家元の矜持がさり気なくこめられているようでもあり、なかなかに味のある問答ではありました。
官休庵におけるパァーヴォ・ヤルヴィさんの感想は・・・
『一期一会という言葉があるそうですが、茶室をみるのも茶道家にお会いしてお点前をいただくのも初めての経験でした。茶室では、花が一輪、無造作に生けてあるような印象を受けました。総て計算されているのでしょうが、その無造作があまりに自然で、野の花のように美しいと思いました。日本の文化は、過度な装飾を避け本質を究めようとしますが、見た目の美しさにもさり気なく気を配るところが素晴らしいです』。
東福寺本堂は明治期に焼失、昭和に入り再建されました。天井に描かれた龍は堂本印象画伯が僅か16日間で描き上げた渾身の作。この画像を彼が娘さんに送信すると「龍のヘアカットはパパと同じね」と返ってきた由。薄い方はこれからドラゴンカット!と。
『お会いした宗匠にも僧侶にもさり気ない誇りを感じました。現代社会は効率重視で、芸術性や精神性は軽んじられますが、お会いしたお二人には誇りと思想があり、そのことに感動しました。そして日本の美は奥が深いと思いました。西洋は、古いものはみな徹底して古く、新しいものは新しい。でも日本の美は新しさの中にも古き良きものが感じられる。そうした日本の美しさに触れただけで情緒が豊かになりました』。
混声合唱組曲《水のいのち》より〈雨〉京都エコーの深い!演奏も素晴らしいですけど、清新で言葉がより明瞭な北の羊さん推奨の岩手大の演奏をお聴きください。
降りしきれ 雨よ 降りしきれ すべて 立ちすくむものの上に また 横たわるものの上に
降りしきれ 雨よ 降りしきれ すべて 許し合うものの上に また 許し合えぬものの上に
降りしきれ 雨よ 分けへだてなく 涸れた井戸 踏まれた芝生 こときれた梢 なお 踏み耐える根に
降りしきる雨よ そして立ち返らせよ 井戸を井戸に 庭を庭に 木立を木立に 土を土に
おお すべてを そのものに そのものの手に そのものの手に
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【過去ログ目次一覧】
吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
吾輩も猫である81~140 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
吾輩も猫である141~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/b7b2d192a4131e73906057aa293895ef
人生の棚卸し http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/ddab58eb8da23a114e2001749326f1f1
かんわきゅうだい(57~) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/20297d22fcd28bacdddc1cf81778d34b
かんわきゅうだい(~56) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
新聞・TV・映画etc. http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a7126ea61f3deb897e01ced6b3955ace
ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c
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指揮者のパーヴォ・ヤルヴィさん。拙ブログでもエストニアF管弦楽団の大阪公演※について記しました。先日の「クラシック音楽館(Eテレ)」では、年数か月を日本で過ごす彼が「一度も訪ねていなかった」京都の一日を楽しむ様子を紹介していました。
※「エストニアの風」https://blog.goo.ne.jp/00003193/e/884ac94b3f0b31508bd390f4001fee6e
官休庵では千宗守14代宗匠がおもてなし。気後れすることなく雰囲気に溶けこむのはさすが!でした。「茶道の究極の目的は何ですか?」と問う彼に宗匠は「一言でいえば、束の間の別世界をたのしむということでしょうか」。確かに・・・別世界ではあります。
さらに「わび さび とは不完全の美ですか?」と。なかなか思いきりのよい問いに「あらゆることを経験し最終的に至る境地」。これではやや説明不足と 「一より習い十を知る、十よりかえる元のその一」とつけ加えられた宗匠に、彼は「原点回帰ですね」と。
茶道の極意について問われると、宗匠は「長生きも芸のうち」との言葉を紹介されました。「長生き」という言葉の中に14代450年にわたり連綿とつづく千家家元の矜持がさり気なくこめられているようでもあり、なかなかに味のある問答ではありました。
官休庵におけるパァーヴォ・ヤルヴィさんの感想は・・・
『一期一会という言葉があるそうですが、茶室をみるのも茶道家にお会いしてお点前をいただくのも初めての経験でした。茶室では、花が一輪、無造作に生けてあるような印象を受けました。総て計算されているのでしょうが、その無造作があまりに自然で、野の花のように美しいと思いました。日本の文化は、過度な装飾を避け本質を究めようとしますが、見た目の美しさにもさり気なく気を配るところが素晴らしいです』。
東福寺本堂は明治期に焼失、昭和に入り再建されました。天井に描かれた龍は堂本印象画伯が僅か16日間で描き上げた渾身の作。この画像を彼が娘さんに送信すると「龍のヘアカットはパパと同じね」と返ってきた由。薄い方はこれからドラゴンカット!と。
『お会いした宗匠にも僧侶にもさり気ない誇りを感じました。現代社会は効率重視で、芸術性や精神性は軽んじられますが、お会いしたお二人には誇りと思想があり、そのことに感動しました。そして日本の美は奥が深いと思いました。西洋は、古いものはみな徹底して古く、新しいものは新しい。でも日本の美は新しさの中にも古き良きものが感じられる。そうした日本の美しさに触れただけで情緒が豊かになりました』。
混声合唱組曲《水のいのち》より〈雨〉京都エコーの深い!演奏も素晴らしいですけど、清新で言葉がより明瞭な北の羊さん推奨の岩手大の演奏をお聴きください。
降りしきれ 雨よ 降りしきれ すべて 立ちすくむものの上に また 横たわるものの上に
降りしきれ 雨よ 降りしきれ すべて 許し合うものの上に また 許し合えぬものの上に
降りしきれ 雨よ 分けへだてなく 涸れた井戸 踏まれた芝生 こときれた梢 なお 踏み耐える根に
降りしきる雨よ そして立ち返らせよ 井戸を井戸に 庭を庭に 木立を木立に 土を土に
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