30年余前、その方は当時まだ40代後半の内科医、患者としてではなく仕事上の出遭いでした。優しい眼差しと穏やかな話しぶりが印象的でした。仕事を離れてもお付き合いいただき、一昨年亡くなられるまで人生におけるたくさんのご指導をいただきました。
或ることで私に「お祝いをしたい」「ついてはあなたの好きな言葉を教えて下さい」。そう問われるまま「出遭い!でしょうか・・・」と。暫くして大きな荷物が届きました。開けると、或る書家による「邂逅」と書かれた色紙が立派な額におさめられていました。
一昨年、亡くなられる一週間ほど前、奥様からお電話をいただきました。「主人はいま検査入院しています。主人に代ります。暫くお待ち下さい」。代られて、弱々しいお声で「あなたに出遭えて良かった。良い思い出ばかり、ありがとうございました・・・」と。
永久のお別れのようで、「なにを仰るんですか! きっと良くなられます」 と語りかけながら涙があふれました。奥様からは「主人から言われていますので」と 入院先を教えていただけませんでしたが、一週間程して「亡くなりました」とのお報せをいただきました。
Painted by QP
数日前、妻は友人と水無瀬神宮にお詣りしました。『軒荒れて誰か水無瀬の宿の月すみこみしままの色や寂しき』と後鳥羽天皇が詠まれた水無瀬、その名と逆に名水百選「離宮の水」で知られます。何気に歩いていて同じ方向に歩かれる方から声をかけられた由。
ご高齢ながら装いも話し方もとても魅力的な方で、妻にしては珍しくつい!話しこんだそうです。余程!心がかよったのでしょう、別れ際にお互いの連絡先を交換、妻手作りで「今回の出来は素晴らしく良い」と悦に入っていた八朔のジャムを送り届けたそうです。
そのお礼のご返事がありました。大方1時間近く話していたようですが、終わると私に「びっくり! こんなことってあるんですね」と昂奮気味に話し始めました。その方のお兄様は医師で「一昨年、がんで亡くなりました。医院は一人息子が後を継ぎました」。
その方は双子の姉妹の一人で、医師であるお兄様と一緒によく絵を描かれた由。もしや!と思い「何という医院ですか」と訊くと、「〇〇市の〇〇医院です」。余りの偶然に妻もその方もびっくりしたようです。はい、私とお付き合いのあった前記の方でした。
出遭い。邂逅。ご縁。不思議な巡り合わせに、ややオーバながら運命の糸を感じました。
前々回のブログでは白鳥英美子さん、今回はジュディ・コリンズさんの「アメージング・グレイス」。
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吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
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人生の棚卸し http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/ddab58eb8da23a114e2001749326f1f1
かんわきゅうだい(57~) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/20297d22fcd28bacdddc1cf81778d34b
かんわきゅうだい(~56) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
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ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c