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Channel: デ某の「ひょっこりポンポン山」
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吾輩も猫である 69 ( 病老介護 1 「始まりの始まり」 )

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 『なんだかなぁ』と思う一瞬がある。猫でもあるのだから、人間にはもっと!あるだろう。最近よく言われる「違和感」とはやや異なる。「なんか勘違いしてませんか?」と言うのでもない。主人、些細な『なんだかなぁ』で少し休養をとっていたが、8月も間もなく終わり・・・そろそろ帰ってきそうだ。

 主人は90歳超の両親のもとに毎月介護帰省する。一時は一週間余り滞在したが、最近は2〜3泊。このショートステイ、福祉用語で言う「短期入所生活介護」ではなくただの短い帰省。老老介護ならぬ病老介護について経緯も含め2回にわけて記し、併せて主人の郷里境港の「妖怪」をご紹介しよう。


                                        主人の郷里境港「水木ロード」

 異変・・・始まりの始まり
 主人が父親の異変に気づいたのは10年余り前、80歳になった頃だった由。当時まだ車を運転しており、母親の自慢の一つだったが、帰省した或る日、父親の車に同乗し「危ないなぁ」と感じた由。信号が青になってもスタートせずクラクションを鳴らされ、車庫入れには10分余りかかった。

 母親の抵抗
 「トシをとったなぁ」と思うと同時に「運転は無理」と考え説得して廃車に踏み切らせた。本人も既に運転に自信を失っていたのだろう、案外!簡単に同意したそうだ。が、母親は 「お父ちゃんをボケ老人扱いするな」と泣きながらに訴え、「田舎では車がないと暮らせない」と頑強に抵抗した。

  
     悪魔くんとメフィスト             かみぎり               石見の牛鬼

 ボート、箪笥、篆刻、楽焼、反射望遠鏡・・・
 父親は手先が器用で、ボートを造って海釣りを楽しみ、箪笥、下駄箱、机、テーブル、椅子など父親の手作りの家具が今も使われている。また篆刻に凝ったり、窯を造って楽焼に取り組んだり、反射望遠鏡をつぎつぎ作っては学校に寄贈したこともあったようだ(反射鏡も自分で研磨した由)。

 手作り水冷クーラー
 エアコンがまだ珍しかった時代(昭和40年代初め)、古い車のラジエーターと扇風機を組み合せ、井戸水を利用した水冷式クーラー作って居間に置いたそうだが、さすがに今はもうない。またPCが一般に出始めると即購入(NEC)、家計簿や結構広い菜園の作業プロセスにPCを利用していた由。

  
父親製作の反射望遠鏡&台座         座敷童子              カシャンボ

 アルツハイマー型認知症
 7〜8年前、父親の誕生日に主人はデジカメのプリンターを贈った。が、簡単な操作がなかなか覚えられず、結局父親がこれを使うことはなかった。その頃になって漸く認知症 を疑い、地元医大の診察を受けたところ、「お気の毒ですが、アルツハイマー型認知症です」と診断された。

 「恥をかかせてはならない」
 診察結果について母親は 「医者が間違っている」との認識だった。母親のプライドが許さなかったのか、本人には勿論、親類・友人・ご近所にも一切!内緒にした。遂には、「恥をかかせてはならない」と考えたのだろう、町内会・老人会の会合に父親が出ることも「止めさせた」そうである。

 
       商店街(今や土産物店街)            水木しげる記念館(いつも着ぐるみが・・・)

 「治す」のではなく 「進行を遅らせる」
 認知症に効果的な治療法、薬は残念ながらまだない。簡単な算数の問題の繰返しとかアリセプトという有名な薬も、病状の進行を少し遅らせる程度にとどまる。それでもそうしたことの積み重ねのお蔭か父親の病状は比較的ゆるやかに進行したが、進行を止めるには至らなかった。

 幻想、妄想、徘徊
 吾輩が主人の家にきた4年前、深夜に電話がかかるようになった。母親から「お父ちゃんが、出かける!と言ってきかない」と。「〇〇に呼ばれた」「仕事がある」などと、深夜に家を出ようとし母親ではもう止められない。幻想・妄想が現れ始めたのだ。さすがに世間には隠せなくなっていた。
                                                (To be continued) 


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