主人に「もし漱石が現代に生きていたら、どんな漱石やったんですかねぇ」と問うと、主人『歴史に if はあり得へんぞ』との返答。んなこと、わかってますがな、偉そうに・・・。主人、むくれた吾輩を見て猫なで・・・否!人なで声で、『ま、ちょっとオモロイ発想や内科医!』。
哲学する吾輩 芥川龍之介「蜘蛛の糸」を真似る吾輩 藤村操「巌頭之感」を真似る吾輩
昔の文豪は若かった
漱石は49歳で亡くなるが、作品群のどれ一つとってもその若さは信じ難い。ちなみに処女作「吾輩は猫である」を書いたのが38歳、朝日新聞にいま再連載されている言わば不倫小説「それから」は42歳、そして執筆途上にあった「明暗」は49歳、未完の遺作となった。
猫以上に犬好きかも・・・
漱石48歳の随筆「硝子戸の中」には素顔の漱石が垣間見える。「吾輩は猫である」を発表して10年経つが、猫に限らずなかなかの動物好きで、「ヘクトー※」なる飼犬について真に情愛に満ちた記述をしている。(※古代ギリシァの叙事詩に登場する勇将にちなみ命名)
ヘクトーに関する記述1
『硝子戸の中』の3~5章を端折って紹介する。ヘクトーは、生まれて間もない頃、風呂敷に包まれ電車に乗せられて漱石宅に来た。漱石はその日のことを『何だか夢のような心地がする』と子供のように嬉しそうに書き、夜は寒くないよう藁の寝床を敷く優しさを見せる。
ヘクトー・・・2
ヘクトーがジステンバーに罹ると、漱石は彼を犬猫病院に入院させ、しばしば見舞いに通う。漱石を見て安心したのか、ヘクトーはここでようやく少量の牛乳を飲む。医者も「あるいは治るかもしれない」と言い・・・果たしてヘクトーは奇蹟の恢復ぶりで退院、元気に飛び回る。
ヘクトー・・・3
長く病に臥した漱石が漸く快方に向かうやヘクトーを呼ぶ。が、ヘクトーは垣根にうずくまり動かず、暫くして姿をくらます。数日後、池に浮いているヘクトーが発見される。漱石は、骸で帰ったヘクトーのために墓標に「秋風の聞えぬ土に埋めてやりぬ」と刻し庭に弔う。
限りなく不!透明に近いブルー
漱石がこの平成の世に生きていてもベストセラー作家になれたかどうかはわからない。「それから」程度の不倫では物足りなさ過ぎるのだ。難解を売りにしようにも昭和の村上龍や平成の平野啓一郎※に及ぶまいし、今年上期の芥川賞に輝いた又吉直樹にも負けるかもしれない。
※ 村上龍「限りなく透明に近いブルー」(昭和51年上期芥川賞)
平野啓一郎「日蝕」(平成10年下期芥川賞)
ベストブロガーに
しかし間違いなくベストブロガーになっていたであろう。ブログ村の断トツ人気「うにの秘密基地」を見ると一週間に11万人以上訪ねている。途方もない人気ブログだが、漱石ならば間違いなく「うにの・・・」を超えるだろう! タイトルは「ヘクトーの不滅基地」とか・・・。
「硝子戸の中」エンディング
「硝子戸の中」全39章の第39章の最後はこう記されている・・・『家も心もひっそりとしたうちに、私は硝子戸を開け放って、静かな春の光に包まれながら、恍惚とこの稿を書き終るのである。そうした後で、私はちょっと肱を曲げて、この縁側に一眠り眠るつもりである』。
あの世までのひと眠り・・・
生物学的事実(猫と人間の寿命)に基づき吾輩が先に逝くのか、それとも腎がん術後3年半クリアーながら転移リスクを抱える主人が先に逝くのか・・・それはわからない。わからないが、わからなくてもいい。どちらが先であれ、あの世までの「ひと眠り」ほどの話ではないか!
【過去ログ目次一覧】
ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c
腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
かんわきゅうだい http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
吾輩も猫である1~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
吾輩も猫である41~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
吾輩も猫である81~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
哲学する吾輩 芥川龍之介「蜘蛛の糸」を真似る吾輩 藤村操「巌頭之感」を真似る吾輩
昔の文豪は若かった
漱石は49歳で亡くなるが、作品群のどれ一つとってもその若さは信じ難い。ちなみに処女作「吾輩は猫である」を書いたのが38歳、朝日新聞にいま再連載されている言わば不倫小説「それから」は42歳、そして執筆途上にあった「明暗」は49歳、未完の遺作となった。
猫以上に犬好きかも・・・
漱石48歳の随筆「硝子戸の中」には素顔の漱石が垣間見える。「吾輩は猫である」を発表して10年経つが、猫に限らずなかなかの動物好きで、「ヘクトー※」なる飼犬について真に情愛に満ちた記述をしている。(※古代ギリシァの叙事詩に登場する勇将にちなみ命名)
ヘクトーに関する記述1
『硝子戸の中』の3~5章を端折って紹介する。ヘクトーは、生まれて間もない頃、風呂敷に包まれ電車に乗せられて漱石宅に来た。漱石はその日のことを『何だか夢のような心地がする』と子供のように嬉しそうに書き、夜は寒くないよう藁の寝床を敷く優しさを見せる。
ヘクトー・・・2
ヘクトーがジステンバーに罹ると、漱石は彼を犬猫病院に入院させ、しばしば見舞いに通う。漱石を見て安心したのか、ヘクトーはここでようやく少量の牛乳を飲む。医者も「あるいは治るかもしれない」と言い・・・果たしてヘクトーは奇蹟の恢復ぶりで退院、元気に飛び回る。
ヘクトー・・・3
長く病に臥した漱石が漸く快方に向かうやヘクトーを呼ぶ。が、ヘクトーは垣根にうずくまり動かず、暫くして姿をくらます。数日後、池に浮いているヘクトーが発見される。漱石は、骸で帰ったヘクトーのために墓標に「秋風の聞えぬ土に埋めてやりぬ」と刻し庭に弔う。
限りなく不!透明に近いブルー
漱石がこの平成の世に生きていてもベストセラー作家になれたかどうかはわからない。「それから」程度の不倫では物足りなさ過ぎるのだ。難解を売りにしようにも昭和の村上龍や平成の平野啓一郎※に及ぶまいし、今年上期の芥川賞に輝いた又吉直樹にも負けるかもしれない。
※ 村上龍「限りなく透明に近いブルー」(昭和51年上期芥川賞)
平野啓一郎「日蝕」(平成10年下期芥川賞)
ベストブロガーに
しかし間違いなくベストブロガーになっていたであろう。ブログ村の断トツ人気「うにの秘密基地」を見ると一週間に11万人以上訪ねている。途方もない人気ブログだが、漱石ならば間違いなく「うにの・・・」を超えるだろう! タイトルは「ヘクトーの不滅基地」とか・・・。
「硝子戸の中」エンディング
「硝子戸の中」全39章の第39章の最後はこう記されている・・・『家も心もひっそりとしたうちに、私は硝子戸を開け放って、静かな春の光に包まれながら、恍惚とこの稿を書き終るのである。そうした後で、私はちょっと肱を曲げて、この縁側に一眠り眠るつもりである』。
あの世までのひと眠り・・・
生物学的事実(猫と人間の寿命)に基づき吾輩が先に逝くのか、それとも腎がん術後3年半クリアーながら転移リスクを抱える主人が先に逝くのか・・・それはわからない。わからないが、わからなくてもいい。どちらが先であれ、あの世までの「ひと眠り」ほどの話ではないか!
【過去ログ目次一覧】
ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c
腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
かんわきゅうだい http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
吾輩も猫である1~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
吾輩も猫である41~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
吾輩も猫である81~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f