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吾輩も猫である 83 ( 吉本隆明について )

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 吾輩、明16日から主人の介護帰省に同行する。で、主人 「シマ、なんか書いておけ」と気軽に言ってくれたものだ。こんな時は「読む気がしないしコメントなどさらさら書く気になれない」ような自己満足の一文を書くことになる。そう言や主人も自己満足ぽい閑話休題を書いてたよなぁ・・・。

 吉本隆明? 知らんなぁ・・・ え? 吉本ばななの父親? 

 主人の世代には「吉本隆明」の信奉者が少なくない。その訳を主人に訊くと、「さぁなぁ・・・」と生返事。どうやら主人は信奉者ではないと見た。「吉本隆明は、嫌いですか?」と訊き直すと、「好きも嫌いも彼の書を一冊も読んだことがない」のだそうだ。主人の世代でもそれが寧ろ大多数かもしれない。

 戦後史証言プロジェクト・・・吉本隆明の思想の軌跡 

 先夜、Eテレが「戦後史証言プロジェクト」として、軍国青年であった時代から亡くなる(2012年)までの吉本隆明の思想の軌跡を1時間半にわたり特集した。主人、関心ナシ!と思いきや、熱心に見ていた。訊くと「この歳になり同世代の多くが信奉した訳を知りたくなった」とは意外であった。

 吉本隆明は言う『私は徹底的に戦争を継続すべきだという激しい考えを抱いていた』 『死は既に勘定に入れてある。死は怖ろしくはなかった』 『反戦とか厭戦とかが思想としてあることを想像さえしなかった』。戦争遂行には『腑に落ちないところがあった』が、そんな自身の心情を曖昧にした、と省みる。

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 「文学者の戦争責任」 「共同幻想論」

 やがて彼は「文学者の戦争責任」を著し高村光太郎らを烈しく指弾する。また「私生活を優先し政治に無関心な人々」を批判する丸山眞男の論陣に『実はまったく逆で、政治的無関心こそが戦後民主主義の基底をなす進歩だ』と丸山を逆批判する。吉本のこういうところに主人は「なんだかなぁ」かも・・・。

 『言語はコミュニケーションの手段ではない。根幹は沈黙だ』と無言の価値を説く。『国家は共同幻想』とする彼に、国を何とかしようなどという考えはない。戦時下で非転向を貫いた日本共産党の重鎮 宮本顕治を 『非転向も転向の一形態に過ぎない』と一蹴し、反代々木の人々の喝采を浴びる。

 『市井の片隅に生まれ育ち生活し老いて死ぬ・・・無数の人物』 も 『千年に一度しか現れない人物の価値と変わらない』と言い切る。しかし上野千鶴子は『自分が大衆の代弁者だ』と思い始めた吉本隆明に、「それは彼の妄想であり彼の足を引っ張った」 「その頃から吉本に関心を失った」と語る。

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 反「反核」の科学主義者 

 意外に思われようが、吉本隆明は「反!反核」の人である。原発について 『地球の・・・破滅などと憂慮して見せることは・・・停滞以外の何物でもない』 『人類が積み上げてきた成果をたった一度の事故で放棄していいのか』 『今なすべきは完璧に近い放射線に対する防御策を講じることだ』と説く。

 以後、彼と袂を分かつ人が増え、上野千鶴子は醒めた表情で分析してみせる・・・「彼は天邪鬼だと言うこともあるし、(もともと東工大工学部卒で)科学信奉主義者ですよね。失敗を繰返しながら科学技術は進歩して行くんだ、と・・・。きっとそちら(反!反核)側に立つと予想してたらその通りだった」と。

 一方で上野は 「私など大学から給料を貰う身だが、彼は民間思想家を貫いた」 「戦後日本が全くオリジナルの思想家をもったことは世界に誇るべきこと」と評価する。主人、短歌の師匠の道浦母都子が、「私は給料というものを頂いていない。自分の腕一本で生きている」と語ったのを思い出した由。

 さぁ、取り敢えず書いたぞ・・・。吾輩、ロングドライブに備えてそろそろ寝るとするが、先日(1/12)、主人がぶらり訪れた京都:六角堂の仏さんでもご覧いただき、みなさんもおやすみなされまし。

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