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Channel: デ某の「ひょっこりポンポン山」
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僕が僕であるために…

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 25日は尾崎豊の命日。旅立って28年 生きていれば54歳です。追悼のTV番組はありませんでした。ファンは渋谷の歩道橋にある記念碑で追悼したのでしょうか。私は 昨年12月に放送されたNHK「SONGS… 尾崎豊トリビュート」録画を視ながら一人で追悼しました。



 デビューは、彼の母親がレコード会社に送った自作カセットテープがきっかけでした。プロ達が「吉田拓郎の再来」と色めきたつほどインパクトがありCBSソニーからデビュー。直後、自分の歌を聴きながら歩いている若者に尾崎はびっくりしたと語っています。

 「十七歳の地図」は、尾崎の通学路にあった渋谷の歩道橋から見た風景を切り取った歌でした。
人波の中をかきわけ壁づたいに歩けば隅から隅はいつくばり強く生きなきゃと思うんだ ちっぽけな俺の心に 空っ風が吹いてくる歩道橋 振り返り 焼けつくような夕陽が今 心の地図の上で起こる全ての出来事を照らす

 シングルデビューは「卒業 十五の夜」。イジメ、ドロップアウトなど「荒れる学校」の時代、「校舎の裏 煙草をふかし 盗んだバイクで走りだす」の歌詞はクレームものですが、そこに「自分が見えなくなるまで自分をみつめていた」尾崎の魂はあふれています。

 中学時代の尾崎に私の同級生Tが重なります。転校生のTは受け容れられず非行に走りましたが、優しい容姿で音楽では結構!良い声が目立ちました。チェーンを持ち歩き怖れられ…いつの間にか居なくなりました。

 

 注目され瞬く間に躍進した尾崎豊でしたが、「十代の教祖」「若者のカリスマ」と呼ばれる自身の虚像に悩み、音楽活動は無期限停止に。やがて覚醒剤に染まり逮捕、有罪判決を受け(執行猶予) て以来、一見しただけでは彼とわからないほど容貌が変わります。

 「お金も音楽もすべて喪くした」と言う彼に転機をもたらしたのは、角川書店の見城徹氏との再会でした。月刊「カドガワ」に70ページにわたる尾崎豊の総力特集が組まれ、品切れになるほど注目されました。同時に、尾崎豊の音楽が再び脚光を集めました。

 見城徹氏は後に幻冬舎(出版社)を興すこの世界の寵児ですが、当時は角川書店の一編集者。社内に「尾崎の時代は終わった」の声が渦巻く中、命懸けの尾崎特集でした。しかし尾崎と見城氏の関係はやがて断絶します。



 「心のダムが決壊した」と評されるほど尾崎豊の躰から曲があふれ始めます。1990年に発売されたアルバム「誕生 BIRTH」はオリコンのトップに躍り出ました。翌1991年のコンサートツァーも各地で成功します。テーマは一貫して「永遠、信頼、絶対的な愛…」。

 が、見城徹氏は「そのテーマこそが彼に欠けていた。永遠も信頼も信じられないからこそ尾崎はそのテーマを歌いつづけた」と。事実、彼はマネジャーはじめ仲間達と訣別し、後に「星になっても貴方の温もりを今でも覚えている」と歌った母も旅立ちます。 

 「I Love You」は尾崎の初期の作品ですが、シングルカットは1991年、JR東海のCMに使われ注目されました。十代に造られた如何にも十代の純粋な歌でありながら、爛れた頽廃をも感じさせる不思議な歌です。



 1992年4月25日未明。尾崎は見知らぬ家の軒先に裸で倒れていたところを保護されます。運ばれた病院は思うところあり別の病院への入院を手配しますが、家族は「本人が帰りたがっている」と拒み、帰宅後僅か2時間で容体は急変、27年の生涯を閉じました。

 尾崎の歌を一曲だけ!と言われれば 「僕が僕であるために」を選びます。最初のフレーズ『心すれちがう悲しい生き様に溜め息もらしていた』が、ふっと我が学生時代に書いた詩の冒頭※を思い出させるのです、誇るものでも較べるものでもないと承知しつつ…。
 ※『ほとんどすべての希望は虚空を抱いてあたためるように不自然に軋めき…』

 

【過去ログ目次一覧】
吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
吾輩も猫である81~140 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
吾輩も猫である141~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/b7b2d192a4131e73906057aa293895ef
人生の棚卸し http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/ddab58eb8da23a114e2001749326f1f1
人生の棚卸し(2) https://blog.goo.ne.jp/00003193/e/22b3ffae8d0b390afee667c0e9ed92ed
かんわきゅうだい(57~) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/20297d22fcd28bacdddc1cf81778d34b
かんわきゅうだい(~56) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
新聞・TV・映画etc. http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a7126ea61f3deb897e01ced6b3955ace
ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c

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