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Channel: デ某の「ひょっこりポンポン山」
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いのちの断片(かんわきゅうだい69)

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毎朝けたたましい蝉しぐれに目を覚まされます。
もともと心地良い朝を迎えてはいませんから少々煩くても構いません。
春眠のように「もう少しだけ寝させてください」とおねだりするつもりもありません。
それでもたださえ暑苦しい夜に眠りを欲し眠った身体に障る喧騒ではあります。



ささやかな庭ながら毎日水遣りをしていると生きている命の営みが見えます。
庭の塀の足許でいったい何処から命を分け与えられたのかと思う小さな命に気づきます。
小さいながらみるみる花の数を増やし塀の半ばまで繁るその勢いに気圧されます。
名も知らぬ小さな虫にもありんこにも飛来するぶんぶんにもそれぞれ愛しく衝たれます。



ふと草木の中に在ることを誇示するようにへばりつく蝉の脱殻に気づきました。
写真ではいま一つながらその命の脱殻は降りそそぐ陽光に黄金色に輝いていました。
早朝の喧騒は地中に6年余潜みこの時ぞと殻を脱けだした短い命の謳歌でしょうか。
短い間に新しい命が生まれ地中に潜むと使命を果たした亡骸は蟻の餌食となります。



蝉の鳴き始める頃には見事な造形美を誇示した紫陽花は既に無慙な姿を晒しています。
雑草の逞しさは手入れされない可憐な花たちを容赦なく凌駕します。
生り物の木々が生り物の形を表し始める様は小さな庭の秋への怠りなき準備でしょう。
小さな庭の小さな諸行無常の数葉の断片をこのまことに小さなブログに記しました。



 蝉の脱殻に思わず連想したのは「アカシアの雨がやむ時」の3番の歌詞でした。
 『アカシアの雨がやむ時/青空さして鳩がとぶ/紫の翅の色/それはベンチの片隅で
  冷たくなった私の脱殻/あの人をさがして/遥かに飛び立つ影よ』



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