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Channel: デ某の「ひょっこりポンポン山」
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ターニング・ポイント (かんわきゅうだい58)

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 前号「雪の降る街」「蝋梅」にQPからイメージ画像をいただきました。いつもながら見事なセンスと筆致に驚嘆します。折角!でもありますし、今回の「ちょっと硬い」本題に入る前に、この優しく穏やかな世界で少し息を入れていただけばいいかな...。

 今回のテーマは「ターニング・ポイント(分岐点)」。ひとり一人の人生に様々なターニング・ポイントがあるように『世界の現代史にも、夥しい人命が、時に地球の未来が左右される大きなターニング・ポイントがある』と映画監督O.ストーン氏は語ります。



 間違っていることは正すべきだ
 私が最初に観た彼の映画はヴェトナム戦争を描いた「プラトーン」、米国の良心の一端を垣間見る作品でした。また昨年NHKでも放映された「もう一つのアメリカ史」(全10回)も衝撃的であり画期的なドキュメントでした。その視点は「間違っていることは正すべきだ」というきわめてシンプルな、しかし勇気と決断のいる姿勢、行動でした。

 もしトルーマンでなかったら・・・
 日本への原爆投下には「戦争を終わらせるため」「百数十万の米兵の死者を未然に防ぐため」との原爆投下肯定論があります。ストーン氏は「ルーズベトの副大統領選びにおけるトルーマンとウォレスの戦いこそターニング・ポイントだった」「もしトルーマンではなくウォレスが選ばれていたら、原爆投下も米ソ冷戦もなかった」と語ります。

 謀略で盛り返したトルーマン
 当時、米大統領ルーズベルトは重病のため副大統領選びは大統領選びでもありした。ウォレスは徹底した平和主義者で、圧倒的支持を背景に民主党大会で副大統領に選出されることが確実視されていました。しかしナチスの国会議事堂放火デッチ上げ事件のような「党大会場が火災になる」との謀略で党大会は延期・・・トルーマンが盛り返しました。



 原爆投下、核軍拡競争へ
 まるで昨秋の民主党大会におけるヒラリー氏とトランプ氏が争った米大統領候補選を見るようです。ともあれ圧倒的不利を覆しトルーマンが副大統領に選出されます。その僅か3月後にルーズベルトが死去しトルーマンが第33代大統領に就任。更に4か月後、日本への原爆投下を命じ、戦後の軍事大国化と核軍拡、米ソ冷戦構造を方向付けました。

 根拠なき推論による原爆肯定論
 原爆投下の肯定論を支えた「百数十万の米兵の死者を未然に防ぐ」は、米国本土が空襲されてもそれだけの死者は出ない荒唐無稽な推論ですが、当時の米国民の良心を納得させる論拠となり、今も「核軍拡による平和」信仰を支えています。ともあれ戦後、米ソを筆頭とする東西陣営は各軍拡を進め、一触即発のキューバ危機は世界を震撼させました。

 もしケネディが生きていたら゜・・・
 キューバ危機を切り抜けたケネディ大統領は、本格的な核軍縮に乗り出しますが、その緒につくや暗殺されました。ストーン氏はこれも「ターニング・ポイント」に挙げ、「もしケネディが生きていたら」と語ります。しかし後を継いだジョンソン大統領によってヴェトナム戦争がエスカレート、世界中に「紛争」と呼ばれる米国の介入が始まります。



 再びのターニング・ポイトン・・・レイキャビク
 ソ連に「ペレストロイカ(改革)」を掲げるゴルバチョフが登場した頃、米国ではレーガンが「力による平和」戦略を打ち上げます。この時期に開かれた米ソ首脳会談(1986年レイキャビクにて)のテーマは「核軍縮」、一時は「核兵器50%削減」まで進みます。しかし核戦略における米国優位を信じて疑わないレーガンは合意に躊躇、冷戦終結に至りません。

 幻に終わった米ソ核軍縮・・・を経て 現在!
 ストーン氏はレイキャビク会談は「地球から核をなくす最後のターニング・ポイント」と語ります。ソ連邦崩壊、東欧社会主義消滅により米ソ冷戦は自然消滅しますが、世界中の核兵器は温存されたままです。その一方、危険な小国が核をもち、ロシアの核(安全)管理能力は危ぶまれ、「力による政治」をめざす荒っぽい米国大統領が登場しました。



 ストーン監督の新作「スノーデン」
 昨夜、今月公開される映画「スノーデン」について語るストーン氏のインタビューが放映されました。米国による膨大な個人情報監視を告発したCIA諜報員スノーデン氏は、輝かしいキャリアと築き上げた幸せな人生のすべてを捨ててまでなぜこの重大な告発を決意したのか。「日本が米国との同盟を解消」する日に備えた米国の謀略も描かれます。

 大きなウソ、大きな真実、大きな不安・・・
 ナチスは「小さなウソはいつかバレて国民の信を失う。大きなウソは簡単には見破られない」と、大きなウソによって国民と軍隊を戦争に駆り立てました。何が大きなウソで、何が大きな真実なのか・・・私にはわかりません。わかりませんが、日本も世界も危なっかしい明日へと進んでいるように思います。それは私の 間違いなく「大きな不安」です。

   ナターシャ・グジー「いつも何度でも」   
   
   呼んでいる 胸のどこか奥で/いつも心おどる 夢を見たい
   悲しみは数えきれないけれど/その向こうで きっとあなたに会える
   繰り返すあやまちの そのたび人は/ただ青い空の 青さを知る
   果てしなく道は 続いて見えるけれど/この両手は 光を抱ける
   さよならのときの 静かな胸/ゼロになる身体が 耳をすませる
   生きている不思議 死んでいく不思議/花も風も街も みんなおなじ

   呼んでいる 胸のどこか奥で/いつも何度でも 夢を描こう
   悲しみの数を 言い尽くすより/同じくちびるで そっと歌おう
   閉じていく思い出のその中にいつも/忘れたくない ささやきを聞く
   こなごなに砕かれた 鏡の上にも/新しい景色が 映される
   はじまりの朝の 静かな窓/ゼロになる身体 充たされてゆけ
   海の彼方には もう探さない/輝くものは いつもここに
   ・・・わたしのなかに 見つけられたから



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