腎がんの手術から5年余。手術した当時、製薬でがん研究をしていた愚息は「お父さんは幸運やと思う。これから分子標的薬の時代が始まる」「再発転移しても副作用は減り効果は高い」と。しかし現実は容易なものではないことがわかってきました。
がんの再発転移と闘っている人は、文字通り「命懸け」で治療を受け凹みながら勇気をふりしぼっています。副作用に苦しみながら希望を失わずもっと良い明日へと今日を生きています。そんな時・・・そんな時ですけど、わが青春のコイバナを記します。
青春を象徴する小説・音楽・・・
ゲーテ「若きウェテルの悩み」がそれほど!?読まれていないのは想定外でした。まあ国民的ヒット曲でも実は知らない人の方が多いそうですからね。各々の青春の時代に各々の青春を象徴したのは、いったいどんな小説・音楽・映画だったのでしょう。
想定外の仕打ち
赤い夕陽が校舎を染めて楡の木陰にはずむ声・・・。高校時代、2~3年生は舟木一夫の歌がよく似合う旧校舎、1年生はそこから3km離れた鉄筋4階建の新校舎で高校生活が始まり、隔離された新入生に想定外の仕打ちが待っていました。
自主退学を
担任の生物教員「サ〇ちゃん」。校則で髪型はフリーの筈ですが、『俺のクラスは全員丸刈りになってもらう』。私は反抗して髪を切らなかったところ、母親が学校に呼び出され『担任の指示に逆らうなら自主的に退学して貰います』と告げられました。
気の晴れる想いも
母親を攻められては丸刈りにするほかありません。しかし丸刈りも節を曲げたこともどちらもキマリ悪くしばらく凹みました。しかしある時、思いがけない女子から『丸刈り、よく似合ってるしカッコいい』と言われ、気の晴れるところなきにしも非ず。
アイドルをさがせ
この頃、シルヴィ・ヴァルタン「アイドルをさがせ」、ジリオラ・チンクエッティ「夢見る想い」がヒット、「夢見る想い」はイタリア語で歌っていました(今でも歌えます)。歌謡曲は舟木一夫「高原のお嬢さん」、西郷輝彦「あぁ青春の胸の血は」など。
風向きが変わって
6月に入ると生徒会が「丸刈り強制」を問題視し、新聞部は1~2面ぶち抜きで「担任の横暴」を特集しました。風が吹いている!と感じ一斉に髪を伸ばし始めました。結果・・・夏休みが終わるとみんな長髪に戻って登校し、サ〇ちゃんも咎めませんでした。
あの時代の高校生の恋
そういう時代でした。そういう空気がやがてこの世代を大学闘争に駆り立てる一つの下地ではあったかもしれません。しかし男女の恋に関しては今よりはるかに遅れていました。町を手をつないで歩いた他のクラスの二人は全校は勿論、町を沸騰させました。
切なく悶々と・・・
あっ、私ではありません。私にそんな勇気はありません。そもそもわが秘めたる恋はとてもそこまで・・・。日記には綴ってもラブレターはよう出しません。如何に彼女に、如何にひそかに、如何にこの気持ちを伝えられるか・・・切なく悶々と考える日々でした。
オトナの世界に一歩
夏休みは文化祭で上演するESSの英語劇「ハムレット」の稽古に没頭しました。同窓会館に男女みんなで泊りこんだことも、その年に新規採用された美しい英語教員の熱心な指導を受けたことも、オトナの世界に一歩近づいたようなめくるめく体験でした。
視線があって・・・
「ハムレット」は結構!話題になりました。レアチーズとの派手なチャンバラ、否、決闘シーンも好評でした(余談ながらそのレアチーズ役がいま郷里の副市長です)。舞台からそれとなく客席を眺め、彼女!の視線をみとめたことも心を満たしました。
「ハムレット」の一場面 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/078da643559ddb91dea90d023f535583
体育祭のフィナーレ
文化祭が終わると体育祭。そのフィナーレはグランドの真ん中でマスコットを燃やし、その周りで肩を組んで校歌を歌ったりフォークダンスをしたり・・・。適当に輪に入ったりしません。必ず彼女と組む番!がまわってくる位置を選んで輪に入りました。
放心状態に・・・
ライバルもかなりいますから、若干の諍いを経て良い位置をキープしました。にもかかわらず、なぜ?だったのか今もわかりませんが、番!がまわってきませんでした。もうすっかり落ち込み家に帰っても放心状態・・・。たかがフォークダンスですけどねぇ。
同人誌「吾妹」
2年生の夏頃でしたか・・・「吾妹(わぎも)」という同人誌が校内に出まわりました。「私の妹」ではなく「わが愛しきひと」の意です。私が勝手にライバル視していた男子数人が始めたもので、詩・小説・エッセイなどが綴られたガリ版刷りの冊子でした。
同人誌「器」創刊
激しく動揺し、むらむらと怒りにも似た対抗心が沸き起こりました。急遽、数人に呼びかけ同人誌を創刊しました。タイトルはデューイの道具主義にちなみ「器」とし、姑息にも題字は祖父に、表紙絵はアマチュア画家の叔父に「港」の風景を依頼しました。
淡く静かにたれこめて
そこで初めて自分の想いを詩に託しました。ヴェルレーヌ風(上田敏の邦訳風?)に『淡く静かにたれこめて』という一行で始まる詩でした。しかしガリ刷の創刊号は残っていませんし、その一行しか憶えていません。淡く静かな、否、切ない青春でした。
キリがなくなりそうなので今回はこのへんで・・・。「肝腎なコイバナが内野内科医!」と? そりゃ半世紀も前の田舎の純情な高校生のプラトニックな恋心ですから、ドラマチックなコイバナを期待されてもねぇ。でも次はそこのところも考えないと・・・。
昨日、テニスコートやレストランなどもある広大な敷地に建つS彫刻美術館で開かれた女性4人によるジャズコンサートにでかけました。聴きながら、高校の文化祭で喝采を浴びたエレキバンドの「パイプライン」「キエンセラ」を思い出していました。
【左】彫刻美術館の庭(冒頭の写真も) 【右】ジャズコンサートの案内
【過去ログ目次一覧】
かんわきゅうだい http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c
旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
吾輩も猫である81~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f