昨日、主人は旧友Sの「二人展」に出かけた。脚本書きが本職だが、小説も作詞も更に今回は俳句! 主人によれば昔から独特の筆づかいだった由。詠んだ句を書にした作品とSの友人の画家の水彩画あわせて二十数点からなる二人展・・・名づけて「獺祭(だっさい)展」。
それをなぜ吾輩が書くのか・・・。よくぞ訊いてくれた(訊いてへん)。主人、疲れがたまると材料だけポイッ!と吾輩に渡し「後は適当に書いてくれ」。不満顔をすると「誰のお蔭で三食昼寝付の暮らしができるんや?」と上から目線の一言。はい!はい~!(「はい」は一回)
※ Sは「吾輩も・・・98」で作詞家(「だあれもいない」)としてご紹介した。
http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/9632483cb5bb1bd66ab11e203ef16a73
ダサい!ではなく 獺祭(だっさい)展
二人展の場所は京都西陣の町屋アトリエ。あたりで機を織る音が聞こえる。展名の「獺祭」とは、カワウソが自分で捕った魚を食べること。唐の詩人にちなむ謂われもあるが、吾輩琉には「酒を呑みながら自作の書や絵を自分勝手に眺め悦に入る風」とでも言いますか・・・。
アトリエに天使?
格子戸を入ると細長い土間に数点、八畳程の京間に十数点余が展示されている。奥は画家の住居兼アトリエ、京町屋らしく間口は狭いが奥行がある。天井はなく屋根裏に剥き出しの梁が架かる。冬はクソ寒く! 夏はクソ暑い!やろなぁ。ん? 梁に架かるは天使?(下写真左)
真夏日や禅堂の如くジャズ喫茶
なるほどジャズ喫茶は禅堂によく似ている。京都には昔から名曲喫茶、ジャズ喫茶、うたごえ喫茶などが多かった。或る意味、そこには求道者の風が感じられたし、建物の造り、居住まいとしても何処か共通する趣がある、「昭和は遠くなりにけり」の風情なれど・・・。
いくつでも 恋は初恋 曼珠沙華
主人は同期の女友達三人と一緒に訪ねた。それぞれが洩らした感想「昔とおんなじやん」は、Sの描く世界・・・。「進歩がないと言えば、ないっ!」「でも還暦過ぎてそ~ゆ~感性をもちつづけているのは・・・やっぱり進歩がないっ!」。昔のままに毒舌かわしあい・・・。
このひとと座れば春のまん中に
「このひと!って誰のこと?」「ほかのひとやったら春の端っこ?」。春、青春かぁ・・・。「青春は遠くにありて想うもの/そして哀しく歌うもの」と主人が思ったかどうかは知らない。それにしてもSの句は人間くさい。幾つになっても人間くさくて・・・青くさい(笑)
底冷えも やわらこうして 京ことば
ちょっと気取って「やはらかうして」と記さないところがSらしい。はんなり京ことば。しかしどことなく棘を含んだ京ことば。つい裏の意を考えてしまう京ことば。よそ者でも京都で暮らすと文字通り「住めば都」ながら、京ことばに象徴されるややこしさが・・・かなん!
除夜の音の 寂びてこの世を 流れおり
祇園精舎の鐘の音・・・と同じく、諸行無常のひびきあり。図体の割にはけしてフォルテシモの響きではないが、どこまでも遠く響く重低音の鐘の音。「遠く響く」のは地理的には勿論、時間的にも過去へと遡って行く・・・西洋の感覚では容易にわかり得ない世界ではあろう。
アトリエの主で「二人展」の一人、山本員之画伯の水彩画。「北野をどり」の上七軒界隈らしい作品。
二人展を後にしてSの案内で上七軒界隈~千本釈迦堂~北野天満宮を散策。Sと主人はそこそこのテンポで歩くも、女三人は界隈を見るより「オンナだけの話」に夢中なのだろう、遅い、遅い。暫く歩いては立ち停まり立ち停まっては歩くことを繰り返した由。
北野天満宮参道の上七軒界隈。舞妓さん、芸妓さんの置屋が並び、春の「北野をどり」で知られる。
主人詠む「和服きてスマホしながら上七軒」
火事で焼失、再建したお寺が多い中、13世紀創建時のまま。おかめ像は良縁・子授のご利益で有名。
天神さんの上空にもジェット雲 お詣りする人の真摯で謙虚な姿にうたれます
先日放送された辻井伸行さんのウィーン公演。公演の後、訪ねた地方都市で市民合唱団の歓迎に応えて辻井さんが演奏した「ラ・カンパネラ」の響き・・・天神さんを歩きながらこの曲が心を駆け巡りました。
ピアノ曲は、パガニーニのヴァイオリン協奏曲から「鐘」の主題をピアノ曲にしたリストの素晴らしい発想ですが、ヴァイオリンのたたみかけるような響きもまた素晴らしい。
【過去ログ目次一覧】
吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
吾輩も猫である81~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c
旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
かんわきゅうだい http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0