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吾輩も猫である 97 ( 母の日に贈る 佐藤しのぶコンサート )


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 日本を代表するプリマドンナ(ソプラノ)でいらっしゃる佐藤しのぶさん。彼女は「メイシアター」のある吹田市で小学校2年まで過ごされ、その後は吾輩の住む高槻市で青春時代を送られた。 『 同級生はじめたくさんの友人、知人、そして街の風景・・・すべてが懐かしい 』 と仰っていた由。

 ところでこのコンサート記、吾輩は家に居残っていたわけだから主人が書けばいいのだ。が、主人 『オレが感想を話してやるからオマエが書け』 と。「吾輩も猫である」 が間もなく第100回を迎え、早くそこまで行かせたいらしい。吾輩に格別な思いはないが、主人にはそれなりの思いがあるようだ。
 
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 口づけ  愛の歓び  禁じられた歌

 キス!では左程セクシィに思わないのに、口づけ!の響きに主人の胸はきゅん!となる。猫の理解を超える人間の感覚、まぁ勝手にセクシィになりなはれ。で、この 「口づけ」がオープニングに歌われたわけは、エンディングになればわかる。読者は最後まで読むほかない(最後だけ読まんといて!)

 つづく「愛の歓び」もまたセクシィなタイトルで、結婚式でよく歌われる。が、「愛は一瞬、幻滅は一生」なる歌詞である。「禁じられた歌」は、恋人と塀を隔て高い窓越しに愛の歌を交わしあう二人に、母親が歌うことを禁ずる歌である。禁じられれば禁じられるほど恋は熱く深くなると知ってか知らずか・・・。

 「母の日に贈る」コンサートのコンセプト

 ここで会場を運営する財団所属のメイシアター少年少女合唱団が登場、 「ありがとうの花」 「歌はともだち」 を心にしみる澄んだハーモニィで合唱。佐藤さんと子ども達のやりとりを聞き、主人 『佐藤さんのこころに触れ、このあたりから今日のコンサートの “ 本当のテーマ ” が少しづつわかってきた』。

 佐藤さんと子ども達が一緒に歌う「Rememfer(リメンバー)」。詞:なかにし礼、曲:鈴木キサブロー、2013年に彼女の依頼で作られたオリジナルである。彼女は言う 『広島長崎を忘れない。チェルリブイリを忘れない。福島はじめ東北大震災の悲劇をいつまでも心にとどめておく』 ために歌いたいと・・・。 

 ある晴れた日に かわいい坊や(いずれも「蝶々夫人」より)

 死を賭した蝶々夫人の愛。海を隔て信じて待ち、やがて歓喜と絶望の再会。そして死をもって終わる愛。その切ない想いは坊やすなわち夫人の息子に託される。主人曰く 『 絶唱・・・心がちぎれるように胸を突き上げられた。この曲を歌いつづけてきた彼女にして初めて表現し得る心か・・・』。

 「愛と死と戦争と平和と・・・」。客席には女性が圧倒的に多く、第一部の休憩で立ち上がった人々の多くが目にハンカチをあてている光景が印象的であった由。入り!はホールの7~8割というのが主人には残念であったようだが、主催者によれば 『ソロでこれだけの観客が入れば大成功』らしい。

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  68年前の「花のまち」  現在の「花は咲く」

 「花のまち」は團伊玖磨さんの曲。戦後の荒廃した国土をみて 「美しい花が咲きほこる平和なまちにしたい」 との思いをこめてつくられた(1947年)。ラジオを通じて広く親しまれ、またNHKのラジオ「話の本棚」のテーマ曲としても使われた。お年を召された方には「希望を託した」懐かしい歌であろう。

 真っ白な雪道に春風かおる/わたしはなつかしいあの街を思い出す/叶えたい夢もあった/変りたい自分もいた/今はただなつかしい/あの人を思い出す/誰かの歌が聴こえる/誰かを励ましてる/誰かの笑顔が見える/悲しみの向こう側に/花は 花は 花は咲く/いつか生まれるきみに/花は 花は 花は咲く/わたしはなにを残しただろう
 
  夜空の向こうの朝の気配に/わたしはなつかしいあの日々を思い出す/傷ついて傷つけて/報われず泣いたりして/今はただ愛おしい/あの人を思い出す/誰かの想いが見える/誰かと結ばれている/誰かの未来が見える/悲しみの向こう側に/花は 花は 花は咲く/いつか生まれるきみに/花は 花は 花は咲く・・・いつか恋するきみのために

 さとうきび畑  約束

 風と畑と陽ざしの中・・・「ざわわ ざわわ ざわわ」とリフレインされるたび言い知れぬ哀しみが波のようにおし寄せる。平明な詩に突然・・・『あの日鉄の雨に打たれ父は死んでいった』そして『風よ悲しみの歌を海に返してほしい・・・風に涙はかわいても ざわわ ざわわ ざわわ この悲しみは消えない』

 『その日 ぼくが石けりしてるとパパが家から出てきていった』に始まる「約束」は、一度ならず聴かれたと思う。急いで帰った坊やにパパは、ママが死そうだと言う。 『 お前は男だ 歯をくいしばり 耐えて行くんだ 頼むぞ』。坊やは、ママが死んでも泣かないとパパに約束する。

 しかし、ママが死んだ日、坊やは約束を守れず 『泣くなって言ったって 無理さ 無理だよ』と泣く。だがそのあくる年、『あの戦争で パパが死んだと聞いたとき 僕は その時 涙を堪えた 僕は その時 約束を守った』。この歌を歌う佐藤さんの目に大きな涙・・・そして会場も涙につつまれた。

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 ロビーで販売された佐藤さんの著、CDは一部ではなく全額!チェルノブイリ・東北大震災支援に!

 わが母の教え給いし  ふるさと  アヴェ・マリア

 第二部最後はドヴォルザーク「わが母の教え給いし」。ジプシーの母親が娘にそそぐ愛、それは歌を歌いきかせながら育まれた。母の日にふさわしい佐藤しのぶさんから贈られた愛の歌・・・5年前がんで逝った彼女の母親と、そして彼女の一人娘への深い愛もこめられていたことだろう。

 圧巻のコンサートの本当のテーマは「アンコール」に凝縮されていた。熱い拍手に応えて登場した佐藤さんから客席に『いっしょに歌いましょう』と呼びかけられた歌は「ふるさと」。主人、2番途中から歌えなくなったらしい。そして戦争と大災害の犠牲となったすべての人々のために「アヴェ・マリア」。

 アンコールも終わりいよいよ佐藤さんが袖に消えようとした時、「ブラボー」の声とともに会場はスタンディングオベーションに・・・。佐藤さん、歩みをとめ、そしてまたステージの端から端に立ち、客席に向けてキス! 否! 口づけ!の嵐 「投げキッス」ではなく 熱いエアキス! 否! エア口づけ!

 佐藤しのぶ 「アメイジング・グレイス」 「アヴェ・マリア」



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