季節の端境期。名残の冬と煌めく春が溶けあいながら季節は弁証法的に移ろいます... なんて大層に書くから「読むのやめる」って言われます。でも 時代は…世界は…人は…なかなか明瞭に割り切れずジグザグと歩むもののようではあります。ではありますが 春の息吹あふれるQPの絵で始めます。
「フォーライフ」… "For Life" であり "Four Life" でもあります。1975年4月11日 そのいずれの意味をもこめミュージシャンのためのミュージシャンによる会社が生れました。既存音楽業界に画期的な挑戦状を叩きつけた "Four" はフォークシンガー 小室等、吉田拓郎、井上陽水、泉谷しげるの四人。
NHKは嫌いだ!と言いながら ... またまたNHKさんの番組から紹介するのは本当に気が引けます。まぁ気は引けるけとれどもペンが勝手に前に進んでしまうのでお赦しください。NHKさんからは「赦さぬ!」って言われそうですが…。ス、スビバセン! 私ではなくこのを叱ってやってくださりませ。
※ 3/1 NHK-BSP「アナザストーリー"俺たちが音楽の流れを変える"」より
左から 泉谷しげる(別人28号) 井上陽水(変わらん) 小室等(今の方がマシ) 吉田拓郎(若けぇ)
彼らが登場した1970年前後。私は彼らを好きではありませんでした。泉谷は安物のスーパーのようでカッコ悪く性格も悪そう。陽水の硬質な声には耳が拒否反応。小室等のヒゲ面は如何にも汚らしく不快。拓郎は人気があり過ぎるのが厭で 歌詞もメロディも心に響かず!(それにしてもみんな髪が長い)
年長!ゆえ社長に就いた小室等(31)…上条恒彦「出発の歌」の作曲が私の彼への唯一の評価でした。が、フォーク界のリーダーとしては適任だったと思います。その小室が「成らない話」と思っていた会社創立が「成るかもしれない」と思うようになったのは 人気絶頂だった吉田拓郎の参画でした。
小室等(左端) と泉谷しげる(右端) は "現影" ですが 今なお超!売れっ子の拓郎と陽水は出演せず "旧影"
"ism" は似合わない陽水。「氷の世界」で日本初のミリオンセラーを出した超売れっ子は「収入は売上の3%」「レコード会社"専属" 操り人形」への不満に背中を押され "ism" が顕れました。「グループなら四人」の最後の一人は「泉谷だよねぇ」で一致。泉谷は「ドッキリだと思った」そうですが。
「恩知らず」「カネほしさ」の批判が高まります。今の時代であれば もっと!でしょう。『命懸けの勝負であることを徹底したい』と、批判に最も動じなかったのが拓郎であったのは意外であり見直しました。ともあれレコードをプレスする工場さえ確保しづらい業界の厚い壁!ではありました。
勝負を賭け 四人のクリスマスのレコードアルバムを限定盤で制作、発売します。が、ファンは「ひとり一人のファン」であって「四人のファン」ではありません。ファンには 1/4の値打ちしかないアルバムでした。経営のプロならぬアーティストの会社は 数億円の赤字を抱えることになります。
重圧の下、社長は小室から拓郎に代ります。スーツにネクタイをしめ営業に駆け回り接待ゴルフにさえ出かけます。『アーティストになりたかった』泉田しげるは早々に "フォーライフ" を去ります。『とどまるよう最後まで熱く説得したのは拓郎さんだった』『すまなかった』とは泉田の述懐です。
拓郎は "売上至上主義" を掲げ 6年かけてフォーライフ社を建て直しました。その後 アーティストの世界に帰りましたが、1999年に遂にフォーライフを去ります。2013年には井上陽水も去ります。最初の社長となった小室等のみが残ったフォーライフですが、潰れていません。なんとか…健在です。
営業で事務所まわりをする吉田拓郎社長。ちょっと胸が詰まる光景でした。
その間に "つま恋" がありました。日本最初の "野外" にて "数万人" の若者が "オールナイト" で開いたコンサートでした。当時のフォークシンガーが憧れ夢にみた "ウッドストック" の日本版です。広い場所、交通アクセス、騒音対策に安全対策etc. 殆ど実現不可能に思われましたが、実現しました。
※ "オールナイト" であったのは 「安全に帰ってもらうためには始発電車まで引っぱるしかなかった」由。
"つま恋" はヤマハが掛川市(人口6万人)で開発を計画したリゾート地。なだらかな広い敷地。周辺に住宅はなく騒音の心配も不要。電車駅から車の殆ど通らない一本道で安全上も問題なし。教委や警察の懸念にはヤマハの社長が「わが社はバイクと楽器、若い人のお蔭で今日がある」と一肌脱ぎました。
※ 人口6万人の掛川に6万人の観客。地元の方は「炊き出し」「一夜の宿」を無償で提供された由。
サザン、安室奈美恵から現在の若いアーティストまで 当たり前に野外で大きなライブが開かれます。それら総ては "つま恋" から始まりました。そして四人の大きな冒険は、メジャーばかりではない様々なレーベルの音楽企業に活路を拓き、日本の音楽の流れを大きく変えた事件!でもありました。
♫ ナターシャ・グジーさん。
6歳の時 チェルノブイリで被爆。ウクライナの首都キエフに移住し民族楽器バンドゥーラを学びました。
二度の訪日を縁に 2000年から日本を拠点に音楽活動をされています。
昨夏 小椋佳さんの公演で 彼女のバンドゥーラの伴奏に接し また「瑠璃色の地球」の歌声が心にしみました。
母国に捧げんとこの三月に作られたばかりの「希望の大地」をお聴きください。
【過去ログ目次一覧】
吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
吾輩も猫である81~140 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
吾輩も猫である141~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/b7b2d192a4131e73906057aa293895ef
人生の棚卸し http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/ddab58eb8da23a114e2001749326f1f1
人生の棚卸し(2) https://blog.goo.ne.jp/00003193/e/22b3ffae8d0b390afee667c0e9ed92ed
かんわきゅうだい(57~) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/20297d22fcd28bacdddc1cf81778d34b
かんわきゅうだい(~56) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
新聞・TV・映画etc. http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a7126ea61f3deb897e01ced6b3955ace
ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c
名残の季節 https://blog.goo.ne.jp/00003193/e/ce82e1c580f64c8ab8d43e2c674a481d
「フォーライフ」… "For Life" であり "Four Life" でもあります。1975年4月11日 そのいずれの意味をもこめミュージシャンのためのミュージシャンによる会社が生れました。既存音楽業界に画期的な挑戦状を叩きつけた "Four" はフォークシンガー 小室等、吉田拓郎、井上陽水、泉谷しげるの四人。
NHKは嫌いだ!と言いながら ... またまたNHKさんの番組から紹介するのは本当に気が引けます。まぁ気は引けるけとれどもペンが勝手に前に進んでしまうのでお赦しください。NHKさんからは「赦さぬ!」って言われそうですが…。ス、スビバセン! 私ではなくこのを叱ってやってくださりませ。
※ 3/1 NHK-BSP「アナザストーリー"俺たちが音楽の流れを変える"」より
左から 泉谷しげる(別人28号) 井上陽水(変わらん) 小室等(今の方がマシ) 吉田拓郎(若けぇ)
彼らが登場した1970年前後。私は彼らを好きではありませんでした。泉谷は安物のスーパーのようでカッコ悪く性格も悪そう。陽水の硬質な声には耳が拒否反応。小室等のヒゲ面は如何にも汚らしく不快。拓郎は人気があり過ぎるのが厭で 歌詞もメロディも心に響かず!(それにしてもみんな髪が長い)
年長!ゆえ社長に就いた小室等(31)…上条恒彦「出発の歌」の作曲が私の彼への唯一の評価でした。が、フォーク界のリーダーとしては適任だったと思います。その小室が「成らない話」と思っていた会社創立が「成るかもしれない」と思うようになったのは 人気絶頂だった吉田拓郎の参画でした。
小室等(左端) と泉谷しげる(右端) は "現影" ですが 今なお超!売れっ子の拓郎と陽水は出演せず "旧影"
"ism" は似合わない陽水。「氷の世界」で日本初のミリオンセラーを出した超売れっ子は「収入は売上の3%」「レコード会社"専属" 操り人形」への不満に背中を押され "ism" が顕れました。「グループなら四人」の最後の一人は「泉谷だよねぇ」で一致。泉谷は「ドッキリだと思った」そうですが。
「恩知らず」「カネほしさ」の批判が高まります。今の時代であれば もっと!でしょう。『命懸けの勝負であることを徹底したい』と、批判に最も動じなかったのが拓郎であったのは意外であり見直しました。ともあれレコードをプレスする工場さえ確保しづらい業界の厚い壁!ではありました。
勝負を賭け 四人のクリスマスのレコードアルバムを限定盤で制作、発売します。が、ファンは「ひとり一人のファン」であって「四人のファン」ではありません。ファンには 1/4の値打ちしかないアルバムでした。経営のプロならぬアーティストの会社は 数億円の赤字を抱えることになります。
重圧の下、社長は小室から拓郎に代ります。スーツにネクタイをしめ営業に駆け回り接待ゴルフにさえ出かけます。『アーティストになりたかった』泉田しげるは早々に "フォーライフ" を去ります。『とどまるよう最後まで熱く説得したのは拓郎さんだった』『すまなかった』とは泉田の述懐です。
拓郎は "売上至上主義" を掲げ 6年かけてフォーライフ社を建て直しました。その後 アーティストの世界に帰りましたが、1999年に遂にフォーライフを去ります。2013年には井上陽水も去ります。最初の社長となった小室等のみが残ったフォーライフですが、潰れていません。なんとか…健在です。
営業で事務所まわりをする吉田拓郎社長。ちょっと胸が詰まる光景でした。
その間に "つま恋" がありました。日本最初の "野外" にて "数万人" の若者が "オールナイト" で開いたコンサートでした。当時のフォークシンガーが憧れ夢にみた "ウッドストック" の日本版です。広い場所、交通アクセス、騒音対策に安全対策etc. 殆ど実現不可能に思われましたが、実現しました。
※ "オールナイト" であったのは 「安全に帰ってもらうためには始発電車まで引っぱるしかなかった」由。
"つま恋" はヤマハが掛川市(人口6万人)で開発を計画したリゾート地。なだらかな広い敷地。周辺に住宅はなく騒音の心配も不要。電車駅から車の殆ど通らない一本道で安全上も問題なし。教委や警察の懸念にはヤマハの社長が「わが社はバイクと楽器、若い人のお蔭で今日がある」と一肌脱ぎました。
※ 人口6万人の掛川に6万人の観客。地元の方は「炊き出し」「一夜の宿」を無償で提供された由。
サザン、安室奈美恵から現在の若いアーティストまで 当たり前に野外で大きなライブが開かれます。それら総ては "つま恋" から始まりました。そして四人の大きな冒険は、メジャーばかりではない様々なレーベルの音楽企業に活路を拓き、日本の音楽の流れを大きく変えた事件!でもありました。
♫ ナターシャ・グジーさん。
6歳の時 チェルノブイリで被爆。ウクライナの首都キエフに移住し民族楽器バンドゥーラを学びました。
二度の訪日を縁に 2000年から日本を拠点に音楽活動をされています。
昨夏 小椋佳さんの公演で 彼女のバンドゥーラの伴奏に接し また「瑠璃色の地球」の歌声が心にしみました。
母国に捧げんとこの三月に作られたばかりの「希望の大地」をお聴きください。
【過去ログ目次一覧】
吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
吾輩も猫である81~140 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
吾輩も猫である141~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/b7b2d192a4131e73906057aa293895ef
人生の棚卸し http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/ddab58eb8da23a114e2001749326f1f1
人生の棚卸し(2) https://blog.goo.ne.jp/00003193/e/22b3ffae8d0b390afee667c0e9ed92ed
かんわきゅうだい(57~) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/20297d22fcd28bacdddc1cf81778d34b
かんわきゅうだい(~56) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
新聞・TV・映画etc. http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a7126ea61f3deb897e01ced6b3955ace
ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c
名残の季節 https://blog.goo.ne.jp/00003193/e/ce82e1c580f64c8ab8d43e2c674a481d