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Channel: デ某の「ひょっこりポンポン山」
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隣国のドラマと現実のドグマ

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 今朝、寒風に吹き散らされた葉を拾い集めていて 微かに膨らんだ蝋梅に気づきました。殆どは小さな蕾のままなのに 春が来つつあることを報せたかったのでしょう。蝋梅と並んで きわどく残ったひとひらの葉もまた存在を誇り・・・健気でたまらなく愛しく思いました。



 昨年、韓国とほぼ同時に日本でも放映された連ドラ「師任堂(サイムダン)~色の日記」。特に韓ドラ!が好きなわけではありませんが、「チャングムの誓い」以来の主演イ・ヨンエに魅かれ、16世紀と現代が交錯するドラマ仕立てにも興味をそそられました。



 サイムダンは16世紀の朝鮮に実在した女流画家で、紙幣に肖像が使われるほど高名な存在です。その画家としての生涯を愛憎と謀略とサクセスストーリーに仕立てただけでも注目され、演じるイ・ヨンエ(吉永小百合風!)はこれでもか!の存在感を醸します。

 サイムダンが描いた「金剛山図」の真贋を巡り大学、美術館、政界を巻き込むスキャンダルは・・・おどろおどろしい韓ドラ現代版として描かれます。真作を手にした女性美術史家(イ・ヨンエ)と贋作を推挙する学長の諍い。16世紀と現代が複雑に交錯します。



 このドラマはどう発想されたのか? 左はルーベンスの絵「韓服を着た男」、同右は恋におちた若き日のサイムダンとイ・ギョム(宜城君:国王の弟)。二人は「婚姻し共に金剛山を描く」と誓いあいます。が、運命は二人を引き裂き、巡り会うも再び永遠の別離へ・・・。



 食べるものにも事欠く貧しい暮しから這いあがり、やがて画家として実業家(紙業)として活躍するサイムダン。このサクセスストーリーにあわせイ・ヨンエが様々な衣装をこらして登場します。色彩あふれる美しい衣装、見事な映像(カメラワーク)に惹かれます。



 サイムダンは一人旅立ち、かつてイ・ギョムと将来を誓いあった山に籠ります。イ・ギョムも密かに山に登りサイムダンと共に金剛山の描写に没頭します。描き上げた翌朝、サイムダンは家族のもとへと一人先に山を下り、イ・ギョムは茫然と立ち盡します。



 陰に陽にサイムダンを支えたイ・ギョムは謀略により王への謀反の罪で囚われます。流刑地に向かうイ・ギョムをサイムダンはじめ人々が救出、異国への船を用意します。イ・ギョムは「一緒に異国へ」と言いますが、サイムダンは思いを文に託しとどまります。
 
 サイムダンからイ・ギョムに託された文に記されていたのは・・・『私は たとえ何処にいようとも あなたさまが感じるものを 私も感じ あなたさまが見るものを 私も見ることでしょう。 会えなくとも 別れではないことを 私は信じています 永遠に・・・』



 現代!の美術史家(イ・ヨンエ)がイタリア、トスカーナの聖堂「シェスタ・デ・ルナ(月の昼寝)」を訪れるシーンに、サイムダンが重なります。そこに現れたカメラマンもまたイ・ギョムを演じた俳優(ソン・スンホン)。史実と虚構、16世紀と現代が重なります。

 その地こそ、イ・ギョムが朝鮮を脱出、中国を経て辿りついた安息の地でした。即ちイ・ギョムは、ルーベンスの描いた「韓服を着た男」と同一人物なのだと・・・。



 聖堂「シェスタ・デ・ルナ」、トスカーナの眩しい光と大地・・・ストーリーとしてはもう終わっていましたが、最終回のネタバラシ的サービスでしょうか、なかなか力の入ったカメラワークであり、敢えて言うなら「遊びごころ」満載のシーンの連続でした。



  いずれも時空を超えてトスカーナの地にて結ばれたサイムダンとイ・ギョムの二人。おどろおどろしい時代ドラマのシーンとの落差に少し戸惑います。これが韓流なのかもしれません。美しく、幻想的なシーンに魅了されつつ、少なからず苦笑いも・・・。





 最終回・・・サイムダンが天国に旅立つシーンがあります その少し前に胸をおさえ苦しむシーンで最期を予期させ、浜辺にてお別れの微笑みをたたえ振り返りつつ遠くへとシャドウアウトしてドラマは終わります。サイムダン(イ・ヨンエ)の微笑みが素晴らしい!



 併行して展開された現代!版にはあまり触れませんでした。韓国でも現代版は不評で視聴率もじり貧になったようです。しかし私は野心的だと思いましたし、かなりの腕力がなければ出来ないことだと思いました。日本のドラマ制作者にこの意欲があるか?と・・・。

                            
 
 韓国で日本の映画・音楽などが開放!されたのは僅か20年前です。トンデモナイ!ことですが、開放!されて20年、日本人も韓国人も、そんなトンデモナイことがなぜ罷り通っていたのかを知る、知ろうとすることなくして、開放!の意味はありますまい。

 かつてソウルオリンピックで私が衝撃を受けたのは、日本とブルガリアのバレーボールの試合。観客席にブルガリアのサポーターは殆どいないにもかかわらず、会場はブルガリアの得点に歓呼し、日本の得点にはブーイングの嵐・・・ヘイト!日本で満ちていました。

 前記「師任堂」にも日本!が「倭寇」として登場します。勿論!見るからに極悪人の日本の武士たちが邪悪な所業で朝鮮の民を苦しめます。描かれた倭寇は、史実としてごく!当たり前ではありましょう。しかしドラマの展開に不可欠なシーンではありません。

 間もなくピョンチャン(平昌)オリンピックが開幕します。ソウルオリンピックは30年前、日本文化がまだ公開禁止の時代でした。日本と韓国の国民感情にはなお乖離がありますが、30年を経て悪しき教条(ドグマ)が些かなり進化していることを願います。

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