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Channel: デ某の「ひょっこりポンポン山」
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吾輩も猫である 132 (虹をわたる)

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                            ふるさとの山 霞む空

 父 危篤
 先月27日。久しぶりに仕事を…と身支度している主人に「父危篤」の報。急遽、荷物をまとめつつ細君に 「喪服を忘れんように」と。吾輩の食糧や猫草も忘れんといてや、と心配していたら、ちゃんと用意。京都から来る主人の姉と合流し帰省の途に。

 9時40分
 携帯に 「9時40分、息を引き取った」 との報。それはそれとして、しっかり運転して貰わんとな。SAから主人の息子一家にも一報。詳細は夜にならんと決まらないから、今日のところは普通に仕事し、(孫娘には)普通に学校に行くようにと第二報。

 

 涙ひとつ見せず
 父親のいるグループホームでは母親が手を握ったまま 「手はまだあたたかい」。額と頬に触れると、冷たくなっていたけどまだやわらかであったと…。グループホームの担当の方は 「お母さまはしっかりされています。涙ひとつお見せになっておられません」。

 主人のいとこ達
 主人の従弟の奨める地元の葬儀屋さんに連絡、市に死亡届を出し、火葬場の日程を確保し、通夜と告別式のあらましを決め親戚その他に連絡。従兄弟、従姉妹が駆けつけ何かと段取りに動く。主人も細君も、主人の姉もただただ頭を下げるのみ。

 喪主はおまえが...
 主人、母親に 「喪主をしてくれますか?」。 母親 「お前がやってくれ」。 主人 「じゃあ総て僕に任せてくれますか?」。 母親 「任せる」。 「香典辞退」 「供花は親戚のみ拝受し他は辞退」 と決める。母親は納得できない風だったが、最後、折れた。

 

 喪主挨拶
 葬儀屋さんの葬祭ディレクター氏から、祭壇・棺・遺影・お坊さんなど仏事一つ一つについて選択を迫られ、主人、殆ど即答。進行表にある「喪主挨拶」 にディレクター氏 「通夜ではなくても結構ですが、あった方がしまります」。主人 「では、します」。

 都会と田舎 
 都会では、お参りされる方の殆どがお通夜で、告別式は(仕事の関係で)空席が目立ちます。しかし葬祭ディレクター氏は 「こちらでは通夜は少なく皆さん告別式に来られます。告別式は土曜日ですから、特にそうなります」。仰るとおりだった由。

 95年の生涯
 通夜の喪主挨拶。七人兄弟姉妹の第一子、長男として生まれた父親の95年の生涯を紹介。家が貧しくて学費がタダで内地と同等の資格が得られる満州国立大に進学、太平洋戦争の最中に卒業し軍に志願、復員して教職に就き生涯ヒラ教員を貫いた…。

 
   主人の父親が彫った篆刻より 「金生麗水」「玉出崑岡」「上和下睦」「夫唱婦随」(左から)

 涙腺崩壊
 最晩年は認知症でグループホームに入り、スタッフのみなさんの手厚い介護を受け天寿を全う。そして 「母はまだ元気に生きています。父に賜りましたご厚誼、ご厚情をどうか母に引き続き賜りますように」 と言うと、遂に涙腺崩壊に至った由。

 眠れぬ通夜
 主人の叔母が 「えぇ挨拶やった。親戚として誇らしかった。でも告別式で同じ挨拶をしたらいかんよ」。褒められたのか注文をつけられたのか…。主人、通夜の夜おそくまで考えあぐねている風であった。心身ともに疲れているのに、眠れぬ夜…。

 
   主人の父親が遺した手作り反射望遠鏡、マホガニーのパイプ、母親の「書」(父親が表具)
 
 涙ひとつ見せなかった母が...
 荼毘にふすのは告別式が終わってからが一般的だが、主人の郷里では告別式の前に行う。告別式は午後3時だが、午前10時20分、棺とともに火葬場に向かう。その出棺の時、それまで一つも涙を見せなかった母親が、小さく叫んで、泣いた。

 骨上げ
 寒い日だったが、骨上げの室は熱がこもり汗ばむ。白く小さくなったお骨を前に、母親が再び小さく 「嗚呼」と…。骨壺いっぱいに詰め込まれ、係の方が 「蓋をしてもいいですか?」。蓋がギリリと軋んでたてた音が、主人の耳からまだ離れない。

 告別式挨拶
 告別式の喪主挨拶では、反射望遠鏡を手作りして学校に寄付したこと、退職勧奨に応じず遠隔地の小学校に転勤させられた母親の送迎のため五十の手習いで運転免許をとったこと、戦争では高射砲を誰一人命中させられなかったこと...。

 

 晋ちゃん 大きあんちゃん 
 父親は親戚の間では 「晋(しん)ちゃん」、兄弟姉妹からは「大きあんちゃん」と呼ばれており、「晋ちゃんは皆さんに本当によくしていただき幸せでした」 「大きあんちゃんは先に旅立ちますけど、皆さんは父より長く生きて下さい」 でまた涙腺崩壊。

 人が亡くなるということ
 葬儀後、四十九日法要・納骨についてお寺さんに相談、電気・ガス・電話・水道・CATVなど公共料金の引落口座の変更手続、相続に係る協議…その間、葬儀に出られなかった方の弔問が絶えない。人が亡くなるってことはそういうことでもある。

 
   主人の同期のランチ会の後(主人が撮影)JR京都駅前の広場にて Xマスツリーが眩しい。

 学生時代の同期と...
 ちょうど一週間、取り敢えず郷里を後に帰宅した。主人も疲れただろうが、吾輩も疲労困憊なり。で、主人、「何があるかわからない」と断っていた学生時代同期とのランチ会に京都に出かけた。そして帰ってきた顔は漸くいつもの主人の顔かも…。

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 【過去ログ目次一覧】
 吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
 吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
 吾輩も猫である81~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
 かんわきゅうだい  http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
 閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
 腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
 旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
 ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c


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