Painted by QP
雲がながれる なんて だれが言ったのか
ながれ星だ なんて だれが言ったのか
あなたは 二月の蒼空に 雲のように旅立たれました
二月の夜空に 星のようにながれて逝かれました
背高のっぽの華奢なからだに
まっ白なブラウスも朱色の華やかなセーターもお似合いで
旧いパントマイムの達人によく似たくちもとから
ひときわ美しいソプラノを響かせていらっしゃいました
わたしとおなじ病ながら はるかに重いステージにあって
それでも 立てるかぎり立ち歌えるかぎり歌おうと
もうひとつのステージに立ち盡されたあなた
どんなにか辛く でもどんなにか嬉しかったにちがいなく…
いちどゆっくりおはなしができればと
いつもそう思いながら 気後れしたままに時がすぎ…
そして二月四日の夜 突然にあなたの時が止まり
あなたは いなくなってしまわれました
その夜 私は大阪中之島のフェスティバルホールにいました
マーラーの渾身の交響曲第一番「巨人」 第四楽章の最後の最後
総ての楽器がフォルテシモを轟かせたそのとき その瞬間こそ
あなたの時間が止まった瞬間に思えてなりません
いま しんしんと凍える二月の夜空を見上げつつ…
ショパン「別れの曲」をと思いましたが
敢えて辻井伸行さんご自身の作曲による「それでも、生きてゆく」を。
※ ブログとしてではなく…オマージュとして