「逃げる二月」の言葉どおり、あっ!という間に二月はお仕舞い、「別れの三月」へ。卒業シーズンであり転勤シーズンですから確かに別れの三月ではあります。でもそう言われると なんだか淋しく悲しくなります、たとえ良い別れであったとしても、ね。
Painted by QP
1993年から10年にわたりBSで放送された「世界わが心の旅」。各界の著名人が若き日を過ごした思い出の地を再訪する番組でした。世界を巡る珠玉の旅番組であるとともに、異国における青春プレイバックとしても出色でしたから、毎回欠かさず視ていました。
ここ数年、再放送もありませんでしたが、先日偶々「BSプレミアムカフェ選」で再放送されました。君原健二さん(メキシコ五輪マラソン銀メダリスト)の「アテネ編」は見逃したものの、増田明美さんの「ロサンジェルス編」をワクワクしながら視ました。
このタイトルバックに流れる立原摂子さんのテーマ音楽もたいへん印象的です。
ロス五輪(1984年)はマラソンに初めて「女子」が参画、増田明美さんは「天才少女ランナー」として期待を集めました。しかし炎暑のロスで過剰な走り込みをしたため不調のどん底・・・最初は2位につけたもののずるずる後退し、16km地点で遂に棄権します。
メダルしか眼中になかった増田さんは、16km地点で「メダルは取れそうにない」「これ以上走るのはみっともない」と棄権したのでした。しかしアンデルセン選手(スイス)が意識朦朧としつつも最下位でゴールするシーンを視て烈しく心を衝たれました
増田さんの落胆は大きく「失意の2年間」を過ごしますが、米国に留学し新しい環境で再起を期すことになりました。その地はロスから西海岸を少し北に上ったオレゴン州ユージーン(ジョギング発祥の地)でルイーズ・オリベイラコーチの指導を受けます。
オリベイラコーチに嘘の練習タイムを告げていたことが判ると、コーチは叱るのではなく悲しみにくれ「明美は誰のために走っている?」「明美は競技者が土台になっているから、競技がダメになると総てダメになる」と。そうした日々が増田さんを甦らせます。
オリベイラコーチ(右) 中日マラソンで競うキャシー・トゥーンさん(左)
再訪の旅で、中日マラソンを競ったキャシー・トゥーンさんと再会します。キャシーさんは「当時のあなたは健全ではなかった。まだ十八の少女があんなに禁欲的に競技に打ち込むなんて悲しすぎると思った」と振返り、「でも変ったのね。幸せになったのね」と。
再会したオリベイラコーチ、キャシー・トゥーンさん
16年ぶりにロスを訪れた増田さんは、当時のスタート地点(サンタモニカ大学)からゴールめざし走り始めました。五輪で棄権した16km地点は軽快に走り過ぎましたが、ゴールまで数kmで脚が動かなくなります。それでもストレッチを繰返し再び走り始めました。
留学を経て再起した彼女は、ロス五輪から5年後の東京国際マラソンで日本人1位に甦りました。それから11年、既に競技者としては引退しましたが、フルマラソン42.195kmを3時間58分で完走、ロスでは叶わなかったオリンピックスタジアムを一周します。
増田さんは、ゴールするとその場に崩れるように跪きました。ロスからそう遠くないオレゴン大学留学中も一度としてロスには行けなかった増田さん。その姿に、冬季五輪が終了したばかりの今、アスリートにとっての五輪の大きさ、重さを改めて思いました。
「世界わが心の旅」に登場した旅人は300人に及ぶ由。その方々の青春の日々をいつも眩しい思いで視ていました。そして私の青春の旅、わが心の旅を顧みては、立原摂子さんのテーマ音楽が心を揺さぶるように、或る種の烈しい郷愁にかられるのでした。
そんな「わが心の旅」として巡ったこの番組で最も印象深かったのは「プラハ 4つの国の同級生」(1996年放映)の米原万理さんの旅。がんとの壮絶な闘病の末、2006年に亡くなられましたが、「嘘つきアーニャの真赤な真実」などユニークな作品が印象的です。
プラハ 4つの国の同級生(2)https://www.youtube.com/watch?v=KhuvP2uMiQA
プラハ 4つの国の同級生(3)https://www.youtube.com/watch?v=IvOyERiorQQ
aimacoさん、Simcoさん、お元気でいらっしゃいますか?
※ Rarudoさん、お元気でとても嬉しかったです。
にほんブログ村 60歳代ランキング
【過去ログ目次一覧】
吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
吾輩も猫である81~140 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
吾輩も猫である141~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/b7b2d192a4131e73906057aa293895ef
人生の棚卸し http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/ddab58eb8da23a114e2001749326f1f1
かんわきゅうだい(57~) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/20297d22fcd28bacdddc1cf81778d34b
かんわきゅうだい(~56) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
新聞・TV・映画etc. http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a7126ea61f3deb897e01ced6b3955ace
ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c
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1993年から10年にわたりBSで放送された「世界わが心の旅」。各界の著名人が若き日を過ごした思い出の地を再訪する番組でした。世界を巡る珠玉の旅番組であるとともに、異国における青春プレイバックとしても出色でしたから、毎回欠かさず視ていました。
ここ数年、再放送もありませんでしたが、先日偶々「BSプレミアムカフェ選」で再放送されました。君原健二さん(メキシコ五輪マラソン銀メダリスト)の「アテネ編」は見逃したものの、増田明美さんの「ロサンジェルス編」をワクワクしながら視ました。
このタイトルバックに流れる立原摂子さんのテーマ音楽もたいへん印象的です。
ロス五輪(1984年)はマラソンに初めて「女子」が参画、増田明美さんは「天才少女ランナー」として期待を集めました。しかし炎暑のロスで過剰な走り込みをしたため不調のどん底・・・最初は2位につけたもののずるずる後退し、16km地点で遂に棄権します。
メダルしか眼中になかった増田さんは、16km地点で「メダルは取れそうにない」「これ以上走るのはみっともない」と棄権したのでした。しかしアンデルセン選手(スイス)が意識朦朧としつつも最下位でゴールするシーンを視て烈しく心を衝たれました
増田さんの落胆は大きく「失意の2年間」を過ごしますが、米国に留学し新しい環境で再起を期すことになりました。その地はロスから西海岸を少し北に上ったオレゴン州ユージーン(ジョギング発祥の地)でルイーズ・オリベイラコーチの指導を受けます。
オリベイラコーチに嘘の練習タイムを告げていたことが判ると、コーチは叱るのではなく悲しみにくれ「明美は誰のために走っている?」「明美は競技者が土台になっているから、競技がダメになると総てダメになる」と。そうした日々が増田さんを甦らせます。
オリベイラコーチ(右) 中日マラソンで競うキャシー・トゥーンさん(左)
再訪の旅で、中日マラソンを競ったキャシー・トゥーンさんと再会します。キャシーさんは「当時のあなたは健全ではなかった。まだ十八の少女があんなに禁欲的に競技に打ち込むなんて悲しすぎると思った」と振返り、「でも変ったのね。幸せになったのね」と。
再会したオリベイラコーチ、キャシー・トゥーンさん
16年ぶりにロスを訪れた増田さんは、当時のスタート地点(サンタモニカ大学)からゴールめざし走り始めました。五輪で棄権した16km地点は軽快に走り過ぎましたが、ゴールまで数kmで脚が動かなくなります。それでもストレッチを繰返し再び走り始めました。
留学を経て再起した彼女は、ロス五輪から5年後の東京国際マラソンで日本人1位に甦りました。それから11年、既に競技者としては引退しましたが、フルマラソン42.195kmを3時間58分で完走、ロスでは叶わなかったオリンピックスタジアムを一周します。
増田さんは、ゴールするとその場に崩れるように跪きました。ロスからそう遠くないオレゴン大学留学中も一度としてロスには行けなかった増田さん。その姿に、冬季五輪が終了したばかりの今、アスリートにとっての五輪の大きさ、重さを改めて思いました。
「世界わが心の旅」に登場した旅人は300人に及ぶ由。その方々の青春の日々をいつも眩しい思いで視ていました。そして私の青春の旅、わが心の旅を顧みては、立原摂子さんのテーマ音楽が心を揺さぶるように、或る種の烈しい郷愁にかられるのでした。
そんな「わが心の旅」として巡ったこの番組で最も印象深かったのは「プラハ 4つの国の同級生」(1996年放映)の米原万理さんの旅。がんとの壮絶な闘病の末、2006年に亡くなられましたが、「嘘つきアーニャの真赤な真実」などユニークな作品が印象的です。
プラハ 4つの国の同級生(2)https://www.youtube.com/watch?v=KhuvP2uMiQA
プラハ 4つの国の同級生(3)https://www.youtube.com/watch?v=IvOyERiorQQ
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閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
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旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
新聞・TV・映画etc. http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a7126ea61f3deb897e01ced6b3955ace
ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c